感情の意味
取得した情報がある条件に合致すると、その条件を解決・達成するための行動を促す仕組みを「感情」と呼びます。
わかりやすく言えば、生物は生存において有効な場合はそれを求め、危険な場合は対処する必要があり、これを判断する仕組みが「感情」になります。
そして、感情の種類は行動の方向性を示すと考えられます。
わかりやすく言えば、感情によって「○○しなければ」と感じる、ということです。
感情 = 生存において有効もしくは危険を感じた時に起こる本能的な判断。これによって目的を達成する為の情報を追及する(解決的行動を促す)。感情の種類は解決的行動の方向性と考えられる
・生きる上での重要な目的:有益(快感)は取得(増加)させようとし、危険(不快)は回避(解消)しようとする ①有益なものの取得=未取得の快感の取得 ⇒ 快感を想像したら取得しようとする(有益取得欲求) ②危険なものの回避=未取得の不快の回避 ⇒ 不快を想像したら避けようとする(危険回避欲求) ③有益なものの増加=快感の増加 ⇒ 快感になったら増加させようとする(快感増加欲求) ④危険からの脱出=不快の解消 ⇒ 不快になったら解消しようとする(不快解消欲求) |
取得した情報が特定の条件に当てはまった(目的が発生した)場合、
行動を促すために感情が発生し、感情に促されて目的を達成する為の行動を起こします。
①条件に当てはまる ⇒ ②感情が発生して行動を促す ⇒ ③方法を思考し行動を起こす |
たとえば、エネルギーが不足するとエネルギーを摂取する為に空腹感情(不快)が発生して摂取行動が促され、摂取を行うことで空腹感情が解消されます。
①条件:エネルギー不足 ⇒ ②感情:空腹 ⇒ ③行動:食物の摂取 |
もし「感情=行動の方向性」がない場合、
行動を一度だけ行う=一度で終わってしまう場合は目的を達成できなければ意味がなく、
- 行動を起こす → 目的を達成できない → 行動を終わる → 目的を達成できない
行動を続ける=同じ方法をただ繰り返すだけでは方法が間違っていればいつまでも目的を達成することができません。
- 行動Aを起こす → 目的を達成できない → 行動Aを起こす → 目的を達成できない
すなわち、行動は「目的を達成するまで起こし続ける」「目的を達成するまで試行錯誤し続ける」必要があり、
- 行動Aを起こす → 目的を達成できない → 行動Bを起こす → 目的を達成できない → 行動Xを起こす → 目的を達成する → 行動を終わる
その為に行動の方向性となる感情が必要となります。
- 感情が発生する → 行動Aを起こす → 目的を達成できない → 行動Bを起こす → 目的を達成できない → 行動Xを起こす → 目的を達成する → 感情が消える → 行動を終わる
・感情と行動の構図:赤ちゃんがエネルギー不足(空腹感情)になって目的達成(ミルクを入手)する為の感情の有無
- 感情:無し → 1回行動して終わり:1回泣いて終わり
- 感情:空腹(不快) → 空腹(不快)を解決する為の行動を模索する:泣き続ける、泣き声を大きくする、緩急をつける、手足を動かすなど
感情には大きく分けて生きる上で有効となる可能性を示す「快感」と、生きる上で危険となる可能性を示す「不快感」があり、
受けた情報(感覚)が生存において有効と判断する条件(快感的条件)に当てはまった場合は「快感」を、
受けた情報(感覚)が生存において危険と判断する条件(不快的条件)に当てはまった場合は「不快」を感じると考えられます。
本能的な判別:生存において有効 ⇒ 感情:快感
本能的な判別:生存において危険 ⇒ 感情:不快
たとえば、特定の食べ物を食べた時に美味しいと感じますが、
これは生存において「有効な栄養を摂取したことで生存の確率が高まった(有効)」と判断しているからになります。
情報:特定の栄養など ⇒ 条件:有効(生存確率の上昇)に相当 ⇒ 感情:美味しい(快感) |
また、空腹の度合いが強いほど不快になりますが、
これは本能が生存において「エネルギー低下によって生存確率が低下している=危険」と判断しているからになります。
情報:遊離脂肪酸の上昇など ⇒ 条件:空腹(生存確率の低下)に相当 ⇒ 感情:お腹が空いた(不快) |
そして、生存において有効=快感はより取得することが有効な為、より取得(増加)したいという欲求(感情)が発生し、
生存において危険=不快は解消することが有効なため、解消したいという欲求(感情)が発生します。
たとえば、美味しいと感じたものは「もっと食べたい」と感じますし、
空腹は「早く解消したい」と感じます。
同様に、有益と推測できるものは取得することが有効な為、取得したいという欲求(感情)が発生し、
危険と推測できるものは対処することが有効な為、回避したいという欲求(感情)が発生します。
たとえば、美味しそうな食べ物を見たら「食べてみたい」と感じますし、
不味そうな食べ物を見たら「食べたくない」と感じます。
感情の強度
入手した情報が条件により適切に当てはまるほど、より確実に行動(解決的行動)を起こすことが重要になる為、発生する感情の強度も強くなります。
条件の適合率 = 感情の強度
たとえば、セグロカモメは巣からたまごがはみ出すと巣に戻そうとしますが、
条件:卵が巣からはみ出る ⇒ 感情:卵を巣に戻さないと ⇒ 行動:卵を巣に戻す
実物の大きさの卵と実物よりも一回り大きな卵を並べると実物よりも一回り大きな卵の方を優先的に巣に戻そうとします。
これは一回り大きい方がより条件(感情が関連付けられている情報)に合うからと考えられる
仮に卵の条件である「大きさ」を「20cm」とした場合、20cmに近いほど反応が強くなる=感情が強くなり、行動を起こしやすくなる
条件:卵が巣からはみ出る = 条件①卵 + 条件②巣 + 条件③はみ出る ①卵の条件:特定の形(卵形)に近いほど+特定の大きさに近いほど+特定の模様(斑点)に近いほど+特定の色(緑)に近いほど ②巣の条件:特定の形に近いほど+特定の大きさに近いほど+特定の模様に近いほど+特定の色に近いほど ③巣から卵がはみ出る条件:特定の形に近いほど+特定の大きさに近いほど+特定の模様に近いほど+特定の色に近いほど ※この場合は視覚における条件を示しているが、実際には聴覚や嗅覚など様々な条件があると考えられる |
(余談だが、より大きい卵の方が条件に合うのはおそらく大きい卵の方が生命力が高い=生き延びる可能性が高いからと考えられる。
斑点がある方を優先するのも緑の方を優先するのも、斑点無しや白色に比べて生命力が高い傾向があると考えられる。
つまり、生物は生命力の高さを見分ける五感的な判断基準が遺伝的に備わっているということであり、
女性に備わっている生命力の高い男性を見分ける基準=生殖的条件をクリアすることが女性に好かれる秘訣と言える)
人間も同じで、たとえば男性が女性に対して性的に興奮することがありますが、
条件:特定の状況で女性の性的な姿を見る ⇒ 感情:性交したい ⇒ 行動:性交しようとする |
女性の裸の銅像よりも女性の裸の人形、女性の裸の人形よりも実際の裸の女性の方が興奮しやすくなりますが、
これは視覚情報的により条件に当てはまるからと考えられます。
女性の銅像(ほんの少し当てはまる) < 女性の人形(少し当てはまる) < 女性の実物(より当てはまる) |
条件例: {情報A:形 ー 情報B:色 ー 情報C:質感} ⇒ 感情 女性の銅像 {情報A:○ ー 情報B:× ー 情報C:×} ⇒ 感情:弱 女性の人形 {情報A:○ ー 情報B:○ ー 情報C:×} ⇒ 感情:中 女性の実物 {情報A:○ ー 情報B:○ ー 情報C:○} ⇒ 感情:強 ※上記はあくまで構造を理解する為に必要な最低限の情報による説明であり、実際にはより複雑になる |
このように、取得した情報が条件により適切に当てはまるほど感情が強くなり、条件に当てはまらなければ感情は発生しません。
条件に当てはまるほど重要の可能性が高いので優先する為に感情も強くなる ⇔ 条件に当てはまらないほど非重要であり、感情も発生しにくい |
また、関連付けの強いことほど感情が強くなります。
関連付けが強いほど発生する感情も強くなる ⇔ 関連付けが弱いほど非重要であり、発生する感情も強くない |
なお、現実では同時期に複数の情報を受け、複数の感情が発生しているが、より重要なこと=感情の強い方が優先されやすくなると考えられます。
たとえば、時として「お腹が空いた」と「眠い」という感情が同時期に発生しますが、
これは「エネルギー摂取を促す要因となる情報」と「睡眠を促す要因となる情報」を同時期に受けているからになります。
そして、エネルギー摂取を促す要因となる情報による条件への当てはまりが強くなるほど「お腹が空いた」という感情も強くなり、
睡眠を促す要因となる情報による条件への当てはまりが強くなるほど「眠たい」という感情も強くなりますが、
このうち条件への当てはまりが適切&感情への関連付けの強度が強い方が感情が強くなり、強い感情ほど行動が促されやすくなります。
ただし、単純に最も強い感情による行動が行われるわけではなく、
状況に応じてより利益が得られる&危険を回避できる行動が選択されると考えられます。(持情報合理的結論と認識的合理的行動)